たわいもない日々の雑感を綴ってみたいと思いまする。

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ドイデ 意識の生産
肩こり指数 ★★★

今日こそは、ひさびさにつまらない能書きでも書こうかと思い、この世の中はだれもがもれなく日々の糧を得るために、労働することをのぞんでもかなわないようにできている。という小話をしようかとおもっていたのだが、徘徊先の「村野瀬玲奈の秘書課広報室」で
「『ルール』が破られるときに社会の発展がある。」というおもわず微笑んでしまうような記事があがっていたので、逆に言えば、「この社会の発展を阻んでいる『ルール』」とやらを考えてみようと思った次第なのである。

導きの糸は、ついこのあいだ発作的に手に入れた「ドイツ・イデオロギー」(廣松版)その筋で言う通称「ドイデ」。このなかで、マルクスは社会における意識の生産という問題をとりあげている。そして、かの知る人ぞ知る、知らない人は知らない有名な「社会の支配的な思想は支配階級の思想である」ということを言っている。以下その部分をうんざりするような内容だが引用することとしよう。

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「支配階級の思想が、どの時代においても、支配的な思想である。すなわち社会の支配的な物質的威力である階級が、同時に、その社会の支配的な精神的威力である。

物質的な生産のための手段を手中に収める階級は、そのことによって、同時に、精神的な生産のための手段をも意のままにする。それゆえ、そのことによって同時にまた、精神的な生産のための手段を持たない人々の思想は、概して、この階級に従属させられている。支配的な思想とは、支配的な物質的諸関係の観念的表現、支配的な物質的諸関係が思想として捉えられたものに他ならない。つまり、ある階級を支配階級たらしめるまさにこの諸関係が思想として捉えられたものであるから、その階級の支配の思想なのである。

支配階級を構成する諸個人は、さまざまなモノをもっているだけでなく意識をも持ち、当然ながら思考する。したがって、いやしくも階級として支配する、歴史的一時代の全範囲を規定する。ということを彼らが行うからには、自分の活動の全域にわたってそれを行うということ、つまり彼がいかなる者であれ、同時にまた思想の生産者としても支配し、その時代の思想の生産と分配を統制するということ、それゆえに彼らの思想がその時代の支配的な思想なのだということ、これはおのずとあきらかである。例えば、王権と貴族とブルジョアジーが支配権をめぐって争い、それゆえ支配権が分立している、そういう時代、そういう国に、権力分立の学説が支配的な思想として登場し、それが今では「永遠の法則」として言い表されることになる。

われわれが先に従来の歴史における主要な威力の一つとして見いだした分業は、今また、支配階級においても、精神的労働と物質的労働との分業として現われ、その結果、この階級の内部で、一部分がこの階級の思想家として登場する。一方他の部分は、この思想や幻想に、どちらかといえば受動的・受容者的に関わる。というのも、彼らは実際の場面でこの階級の能動的な成員であり、自分自身に関する幻想や思想を自分で作るだけの時間があまりないからである。」
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生産手段を手中におさめたものが、その社会の生産を司ることができる。資本主義社会は生産手段を資本家さんが所有する社会である。資本主義的生産は、利潤追求する飽くなき拡大再生産と資本同士の競争が支配する生産様式。

そうした、資本主義的生産様式をもって社会を維持するに必要とする物資を生産する。
資本に労働力を売ることによってしか生活の糧をえることのできない労働者は、自分と家族が暮らしてゆけるだけの賃金をうけとり、それ以上の労働を資本へ剰余価値として貢ぎ続ける。これが利潤の源泉だ。

資本家さんは、そんな生産における搾取の実体を隠蔽すべく、自らの正当性を主張する思想を社会のすみずみまで浸透させる。資本主義社会の豊かさを賛美する思想。搾取する資本家さんもされる労働者も自由で平等な人間であるという人権思想。合理的理性的な法の統治思想。社会の支配者に媚びへつらうようにさまざまな思想家が思想を生産する。

資本家さんに楯をついては生きてはゆけない。人はこの社会ではどの資本家さんに労働力を売ろうと自由だが、必ず売らねばならない。そうした物質的威力が支配思想を精神的威力にかえる。資本主義社会を賛美することも、屈服することも、ともにその支配者である資本家さんを賛美する、あるいは屈服することに他ならない。

庶民は幻想のなかで、資本家さんにあこがれ、それを目指し近づこうとする。資本家さんは自らの価値観を、ありとあらゆる手段、法規範、道徳律、学校教育、マスコミ、メディアなどなどを通じてすみずみまで徹底して浸透させる。だれもが、ベンツやレクサスに憧れ、強き支配者を求め、国家の一員であることに誇りを持つようになる。

そうした幻想を吹き飛ばすような思想を生みだすには確かに、日々競争で労働することを強いられている人は忙しすぎて無理なのかもしれない。

次回不定期につづく かも


廣松版のドイデ 昔の大月のより読みやすい、字も大きいし
と思ったら老眼鏡かけていたから(苦笑)
ドイデ



Comment

 秘密にする

マルクスが、『古代ギリシャの、‘労働から解放された自由な人々による、原初的共同体’に大いなる憧憬を抱いていたこと』を、はじめて知りました。
ソクラテス学派による、『人格的接触による人と人のつながりが、ソフィストの‘勤労と報酬’という関係に置き換えられていくことへの警鐘』を、マルクスは、共感を持って研究していたのですね。
そして、十九世紀の産業資本主義の進展によって、古代から連綿と続いてきた地域共同体が、世界中で壊滅的打撃を受け、崩壊していく現実に、全身全霊をかけて抵抗しつづけるという一生を、マルクスは過ごした。
マルクスの思索の根幹に、『今、世界中で失われつつある、豊かな人格交流によって太古から連綿と構築されてきた、原初的地域共同体の再構築』を目指す、深く激しい情念があったことを、初めて知りました。
このマルクスの情念には大変共感できるものが多々あります。
この間、ロシアの映画監督ソクーロフ氏が、ニュース23のインタビューに答えて、
「プーチン政権下での新自由主義の進展は、スターリンやナチスドイツですらも不可能だった、ペテルスブルグの伝統的民衆共同体の壊滅的解体を、みごとにやってのけた。」
と語っておりました。
そうした21世紀の現実を見ても、マルクスは、極めて今日的な意義を持つ研究に先鞭をつけた人物と言えそうです。
うかつにも、そうしたマルクス観は、今まで持っておりませんでした。
大変興味深く読んでおります。
では、また。
naoko | URL | 2008/04/14/Mon 07:15[EDIT]
いらっしゃいませnaokoさま
マルクスが目指したのは人間の解放であります。彼は人間の本質は労働とセクースであると考えました。どちらも資本主義的生産様式のなかにあっては、その本質と大きくかけ離れたものとなっております。マルクスは資本主義の問題点を根本から明らかにしつつも、この欲にかられた生産力の増大を、封建社会における貧困を克服するものとして積極的にうけとめている。彼の残した仕事の妥当性は、ご指摘の通り今日ますます鮮明になってきていると私のような未熟者でも感じるものであります。

まあ、拙いレベルの話しか書けないですけど、ちょっとその筋では有名な下りなども紹介してゆきますのでこれからもいらしてくださいませ。
薩摩長州 | URL | 2008/04/14/Mon 23:54[EDIT]
後から見ると、タイトルが飛んでいました!
実は、先のコメントで触れているのは、今読んでいる今村仁司さんの『マルクス入門』についての感想です。
それをタイトルに入れていたはずなのですが、後から見ると、タイトルだけ消えていて、なんとも脈絡のない、しかも『ドイツ・イデオロギー』とは、あまり絡まない話(!)なので、戸惑われたでしょう?
実は、本格的にマルクスに関する本を読んだことが、今までなかったもので、ちょっと勝手に盛り上がっていたのです(苦笑)。
naoko | URL | 2008/04/16/Wed 05:28[EDIT]
こんばんわnaokoさま
あまり記事とコメントとの関連はきになさらなくてもよろしゅうございますよ。
全く無縁ではちょっと返答に困ってしまいますが。

さて、「マルクス入門」でございますか、私は今村仁司さんの著作にふれたことがないのでわかりませんが、マルクスの為した仕事は、歴史学であり、哲学であり、政治学でありなにより資本主義社会の運動法則である経済学でございます。資本論はそうした諸学の集大成であります。それゆえ、さまざまな切り口からマルクス主義は論じられるものでございます。ワタシ的におすすめは資本論第1巻の第7篇 資本の蓄積過程 の第24章 いわゆる本源的蓄積と 第25章 近代的植民理論でございます。資本主義の誕生秘話を歴史物語として読まれたらより興味は深いものとなりましょう。簡潔に彼のイデに触れるには、共産党宣言でしょうか。
http://www.geocities.jp/osaka_multitude_p/gakushuu_bunken/sengen_mokuji.html

まあ、知っていて無駄にはならないシロモノであると思います。最近の若者と、権力に嫌われて本屋でも発見することが希になっているのが無念でございますが。
薩摩長州 | URL | 2008/04/16/Wed 23:11[EDIT]
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ベーシックインカムと「仕事」
ベーシックインカムについては、前にも一度、ごく粗雑な文章を書いたことがある。ベーシックインカム(Basic Income:BI)とは、「すべての個人に...  [続きを読む]
愚樵空論 2008/04/11/Fri 20:28
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